農場の紹介
那珂川町の森、川に囲まれた陽だまり農場は、夫婦二人で運営しています。野菜は約150種類を露地栽培し、約40種類を自家採取しています。飼っている動物はヤギ3匹、鶏約100羽ですが、農場内には池や木々がたくさんあり、様々な種類の鳥・虫・野生動物・微生物が暮らしたり訪れたりして農場を住処としています。それらに木々や草も含めすべての生き物が生き生きと共生・共存する、農場全体がビオトープとなるような「生き物農場」を目指しています。そんな環境が育んだ野菜や卵は野性味に溢れ、いろいろな味がします。
<種採りについて>
約40種類を自家採取しています。
種を取る理由は後世に種をつなぎ持続可能な農業をするため。また、土地の環境に適応した種にしていくために毎年少しずつ自家採取を増やしています。
手間はかかるのですが種を採取していると自然とその種に愛着がわき、その作業が楽しくなることも良いポイント!
<プラスチック資材にできるだけたよらない栽培をしています>
その理由は
① 一番の理由は燃やせば空気を汚し、埋めれば何年も分解されずに土に残り土を汚してしまうからです。二次被害としてマイクロプラスチックが川や海まで流れて水を汚染し生態系を壊してしまう恐れがあるので、できるだけそうならない方法を模索しています。
② プラスチック資材を使う作業(マルチ張りや太陽熱処理、防虫ネットによる作物の保護など)がメインになってしまうと、土に触れたり草に触れたりすることが極端に減り、私たちにとっては農作業が楽しくなくなるからです。
③プラスチック素材によって草や虫が極端にコントロールされすぎてしまい多様性が失われたり、微生物が死んでしまったりすることを防ぐため。
※トマトの雨よけや育苗等ではプラスチック資材を使用しています。
<肥料の作り方>
現在は農場の鶏糞をメインで使い、足りない分は研修先の先輩農家からいただいたもののみを使用しています。鶏糞は平飼い養鶏で薬剤を使用せず、その鶏の餌はGMOを使っていない地元の素材から自家配合で作っています。鶏が自ら鶏糞を混ぜ、もみ殻と一緒に自然発酵させています。
ごく少量ですが廃菌床のおが屑堆肥(材料はふすま、防腐剤を使用していないおが屑、塩のみ)や野菜くず、草を発酵させて作った堆肥も使用しています。
<多様性に対する考え方>
多様であるから循環し、多様であるからおもしろい。多様であるから味も栄養も多様になる。多様であるから病気や虫が増えすぎない。多様な野菜を育てれば食べるものが途切れず悪天候の時でも生き残った野菜を食べることができる。多様な植物には多様な生き物がよってきて生物が棲む環境が作られる。排除するのではなくいかに共生できるかを考えています。
<これからの挑戦>
① フードフォレスト:食べられる木や草を増やして農場や山全体が農業をしなくても自然に収穫できる場所を作る。それがさらに多様な生き物を増やす
② 学びの場としての農場:機械や人間の手を加えないガーデンを作ったり、多様性のあり方について見て学べる場所づくりを行っています。
③ 次世代への技術、考え方の継承:食を次世代につなぐためにはそれを理解できる人材が不可欠です。自分たちの代で終わらないあり方を考え中。
④ コミュニティ形成による新規事業者の支援:農業がもたらした多様な恵みを活かせる人を支援できる仕組みづくりに取り組んでいます。
⑤ 子ども、親が集える場所づくり:幼少期に草木を眺めたり、鳥や風の音に耳を傾ける、土や微生物、昆虫などに触れることは五感を刺激し豊かにします。また子育て世代の親の心を畑が癒してくれるような場所を作り、食に関心を持つきっかけを作っていきたいです。